廃業 ・ 撤退支援
廃業について
廃業も選択肢の一つです
中小企業の中には、経営不振といった理由ばかりでなく、事業承継の問題等により、廃業や撤退を決める経営者も少なくありません。廃業はM&Aによる企業存続を図るものではないですが、当該企業を取り巻く様々な取引先や関係者などの関係や従業員を考慮しながら法的ルールに則り、引き際をサポートすることも専門家が重要な役割を担います。その際には人事問題等、事業に関わる知識や実務対応能力が専門家に求められます。
ここでいう「廃業支援」とは、当該企業に積極的に廃業することを促すものではなく、廃業を決断した経営者が、債務超過に追い込まれて倒産することがないよう、ある程度経営余力のあるうちに、計画的に事業を終了することを支援する取組みです。
廃業の進め方と手順
(1)
廃業の手順
中小・零細企業において、事業承継等による問題で事業継続が困難な場合には「売却」か「廃業」を検討することとなります。廃業は、厳しい経営状況になってからの廃業とならないよう、経営余力があるうちに早めの決断・実行が大事です。
① 現状の把握 ② 廃業日の設定 ③ 課題抽出 ④ 計画策定
(2)
廃業計画の策定
(3)
廃業の手続き
(4)
株主、経営陣による廃業の調整、会社の財務状況の把握
(5)
廃業手続ならびに廃業日の決定
(6)
株主総会の決議(解散決議、清算人選定)
(7)
解散と清算人専任登記手続
(8)
解散公告の掲載(官報)と債務者への通知
(9)
清算事務の遂行
専門家のサポートが必要になりますので、ご相談ください
事業撤退について
近年、企業内の不採算事業から撤退を検討する事例が増えています。一口に「撤退」と言っても、撤退方法は大きく分けて事業分離と事業廃止があります。事業分離は事業売却と事業統合に分かれ、その先には、当該事業の他社への事業譲渡や、当該事業のリソースの社内活用、あるいは自主清算など複数の選択肢が存在します。
撤退のセオリー
企業は、まず撤退する事業範囲を明確にする必要があるので、不採算事業に関わる部門・人員、工場、関連会社、資産、負債などの整理を手がけることになります。この場合、例えば管理部門など複数事業にわたり業務に従事する部門・人員が配置されていることなどを把握しておくことが大事です。
また工場の場合、不採算事業のみの製造拠点であるケースもありますが、他事業と共同で利用しているケースもあります。不採算事業の撤退に伴い工場を売却すると他事業の製造工程に支障が出るケースも出てきます。
一方、不採算事業に関わる関連会社があれば、関連会社が当該事業において担う役割やグループ間取引・債権債務、出向者などの有無を把握しておく必要があります。資産については、原材料や設備、工場の土地・建物、特許権などの知的財産など、当該事業に関わる資産の把握と当該資産の汎用性、他事業での要・不要を整理しておかないと主取引銀行の役割が果たせなくなる懸念もあります。
事業撤退の全体スキーム
『中小企業事業再構築講座テキスト1』銀行研修社発行 監修 企業再建・承継コンサルタント協同組合より抜粋
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