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登録人材活動事例

Activity

仏壇仏具販売業の業務改善・収益改善レポート

支援先概況

地方都市で葬祭業と仏壇仏具販売を営むオーナー企業。従業員は約20名。当時の年商は約5億円。最盛期の年商は約10億円。
 葬祭業からスタートし、仏壇販売は大型店舗の大量陳列と積極的なチラシ配布で認知を高め売上を伸ばした。また、葬祭業も自宅葬から式場葬への変化を捉えた大型式場が当たった。しかし十数年前から、住居や社会慣習の変化により、仏壇の需要減少、葬儀の簡素化などで業績が徐々に悪化していたものの、風評を気にして、不採算店の閉店等の抜本的な改善策が打たなかったことでじり貧となり、負債が増加し金融支援を仰ぐ状況に陥った。

葬祭業

  複数の式場を保有し、その中に数百人規模の葬儀に対応できる大型式場もあるが、いずれも 
 老朽化して競合には見劣る。稼働率、葬儀の単価とも下落し、返礼品やお清めの食事等の付帯
 売上も減少している。

仏壇仏具販売業

 本店と数店舗の大型支店で、商圏を面でカバーしている。チラシで最寄り支店に集客し、
 全国有数の大量陳列を誇る本店へ誘導して購買に結びつける戦略は、現在も機能している。
 しかし仏壇の需要は限定的かつリピートが望めないため、需要が一巡すると、需要が減少して
 しまう。また、通信販売やホームセンターなど異業種での取り扱いも増え、既存店が圧迫され
 ている。このため全国でも同業者の閉店が増加している。加えて、春秋の彼岸やお盆の季節品
 の需要も慣習も漸減している。

社内の問題

1.人事
  オーナー家とパート従業員と派遣社員だけの、月給制の社員は不在の極めて変則的な人員構
 成で、社内のコミュニケーションも希薄。従業員は受動的で、ボトムアップの提案は出てこな
 い。また、非定型業務は社長、専務の負担になっている。
2.設備投資
  長年の業績不振で施設や情報システムの補修更新が停滞。全てが老朽化し、故障や破損のリ
 スクを抱えている。
3.在庫
  最近まで、売上に見合わない過剰仕入が続き、年商の2倍以上の過剰在庫を抱えている。
 仏壇仏具は、元々商品回転が良くないため、十年以上経過した長期在庫品も多数ある。

改善の取組み

  現在の、取り組みの方向性と散見される良い兆候を現場報告とさせていただきます。

  1. マーケティングの方向性「潜在顧客の創造」

     マーケティング視点からは、①リピートがない。②日常の来店機会がない。③一般消費者に
     は価値判断が困難④著名なブランドがない。という、普通のマーケティングセオリーが通用し
     ない特殊な業界です。
      不要不急の来店機会が皆無に近い業種なので、まず屋号を商圏の皆様に刷り込んで、仏壇や
     葬儀が必要になった時に真っ先に当社を想起してもらうことしかなく、「潜在顧客の創造」を
     テーマに社名の想起率アップに取り組んでいます。
      施策としては、①最重要広告手段のチラシの効果向上。過去の各店の購入履歴をマッピング
     し、新たに誘客の可能性のある地域へ配布エリアを拡大し、当該店舗の売上が大きく伸びまし
     た。②インターネットの有効活用。葬祭・仏壇の紹介サイトからの引合いも多く、サイト運営
     会社の企画を活用して集客は増えています。今後は自社サイトの情報量を増やすことを予定し
     ています。
      また、仏壇、葬祭ともに専門知識の必要な業界なので、従業員の営業力のばらつきがあり、
     接客サービスの標準化、レベルアップや店内掲示物等のサポートツールの充実が課題と考えて
     います。

  2. キャッシュの創出

     在庫の膨張要因は死筋の高級仏壇の滞留なので、特価コーナーを新設し、長期在庫品を推奨
     しています。補充仕入が不要で、売上がそのままキャッシュになる重要な金鉱です。
     これを原資に設備やシステムの更新、マーケティング施策を進めていこうと思います。元々
     良い品が多いので、POPで訴求すると反応も良く、お客様の満足度も高いように感じます。

  3. オペレーション

     各店舗を不定期に巡回して従業員の声をオーナー家にフィードバックすることに努めていま
     す。最近では、商圏の情報や業務・待遇に関する意見が従業員側から自発的に出るように
     なりました。従業員をまとめる人材がいないので、オーナー家と従業員の中間で両者のコミュ
     ニケーションギャップを緩和するよう努めています。従業員の意見を反映した処遇や業務の改
     善をいくつか実現することが出来ました。

まとめ

 経営者の意識改革を促し、不足のスキルを補完しながら、具体的な経営改革を推進するTAMは、自社に人材の不足しがちな中小企業には効率的で有用と思います。特に、番頭役のいない当社では、次期社長の専務の育成と、オーナー家と従業員の懸け橋にと心掛けております。

 

ターンアラウンドマネージャー HM