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登録人材活動事例

Activity

ホテル業の業務改善・収益改善レポート

具体的な案件例

案件内容

ある地方都市の駅前の好立地にあるビジネス系のホテルで、従業員約60名・客室数は300室を越える。経営者はホテルの不動産を所有し、不動産賃貸業を営んでいる。
当該経営者の所有するテナントビルでは、ビル新築以来長きに渡って大手ホテルチェーンがキーテナントとしてビジネスホテルブランドを運営していた。駅前で立地は抜群に良かった為に開業以来業績は順調に推移していたが、建物の老朽化の問題、耐震改修の問題、テナントであるホテルチェーン内部でのブランド再編の問題があり、数年前にホテルの撤退を決定する。経営陣は引き続きテナントとしてホテル運営先を模索するものの、なかなか新しい借り手を見つけることが出来ず、約3カ月後に至って致し方なく自らホテルの自主運営を決断した。その際金融機関数行で既存の売上高を超えるシンジケートローンを組む。

窮境原因

・ホテル自主運営決定後、新しく屋号に採用したホテルブランドは、時間のない中でロイヤリティが低価格という理由だけで急いで選定した為に、ブランドの中身の検討が不十分で、実際の建物やサービスレベルとミスマッチを起こしてしまう。経営者がホテル運営に素人であった為に、ホテルブランドの重要性が当初より認識出来なかったことが大きな要因であった。このようなホテルブランドの検討不足に代表される、様々な準備不足がホテルリブランドオープン当初から業績の足を引っ張り、オープン初年度は計画値70%程度に留まり、1億を大きく超える営業赤字を計上することとなった。
・高齢の社長はホテル運営未経験であるが、自らの経営方針へのこだわりが強く、ホテル運営コンサルタントを採用するものの運営方針で衝突を繰り返す為に長続きせず、開業以来多くのコンサルタントが出たり入ったりの状況で、この為施策に一貫性がなく従業員はその度に振り回されることとなった。

主な改善施策

・組織全体を、ホテルとしての基本的な組織体制に改めて、支配人・マネージャー・チーフなどの基本的な名称を導入して、更にその「職域・職責」を提示することで役職者に与えられる権限と責任を明確にする。
・会議体を整理して、経営情報をトップダウンで伝える会議と、ボトムアップで現場情報がトップに伝わる会議を主宰し、情報が組織全体に行き渡るようにする。また会議に参加する役職者の範囲を広げて経営情報が広く社内に伝わるように透明化する。
・食材原価管理の為に、オンライン上の受発注システムを導入して原価管理・試算表作成までのスピードアップを図る。
・窮境状況のホテルでは、とかく軽視されがちな営業体制を再構築して営業力を強化する。営業日報に頼ることなく日々営業ヒアリングを実施して数字の進捗をチームで把握する。

改善活動の成果

登用された人材(TAM)の矢継ぎ早の改革で、赴任2ヶ月後には開業以来17ヶ月で初の単月黒字化を達成し、スタート半年で前年1億を大きく超える赤字を大幅に削減して第3四半期終了時点で4,000万円程度の赤字予測にまで圧縮する。

問題点のまとめ

・とかく宿泊業を不動産賃貸業のように空室率といった稼働率重視で考えがちで、部屋が埋まれば良いと考えてしまい、空室を安値で埋めてブランド価値を落としてしまう傾向がある。宿泊単価と稼働率がトレードオフの関係にあることが良く分っていない。
・宿泊業は、宿泊された後の口コミ評価などでネットエージェントの掲載順位に影響が出る為に、サービスのブラッシュアップが欠かせないが、売上と人件費を含めた経費のバランスを別々に考える傾向があり、必要以上に経費削減をしてサービスの質を低下させてしまう。
・特にリゾートを中心に季節変動の大きい業種であるのに、年間での黒字月と赤字月ごとの戦略が取れていない。黒字月の黒字幅の最大化、赤字月の赤字幅の最小化を意識していない。
・宴会やレストランに対しては本来宿泊売上との相乗効果で付加価値を考えて行くものだが、とかく相互の部門連携に考えが及ばず、バラバラに部門別で売上と経費を考えてしまう。その結果人件費、広告宣伝費を中心に無駄を発生させている。

 

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